急増「コロナ治療薬」でないのに・・・未承認薬を服用する人も【新型コロナ】

新型コロナの治療薬としてはまだ認められていない薬を予防などの目的で個人的に手に入れて服用する人が増えています。効果や副作用がはっきりしない未承認薬の服用には危険性も指摘されています。

 「裸の状態で、この錠剤のパッケージだけが送られてきた」(三重県在住 50代男性)

 三重県に住む50代の男性。国際郵便で自宅に届いた、箱の中から出てきたのは・・・

 「イベルメクチン。インドからの輸入だと思います」(三重県在住 50代男性)

 「イベルメクチン」はノーベル賞受賞者、大村智さんらが開発した抗寄生虫薬ですが、コロナウイルスの増殖を抑える効果もあるのではないかと研究が進められています。錠剤のため扱いやすく、自宅療養者などへの活用が期待されていますが、現在、国内でコロナの治療薬として認められているのはいずれも重症者向けの抗ウイルス薬「レムデシビル」と抗炎症薬「デキサメタゾン」の2種類のみ。イベルメクチンは、まだ治験中で、コロナ治療薬としては認められていない“未承認薬”ですが・・・

 「ここですね。キーワード入力のところで入れますと、普通のネットショッピングと全く変わらない」(三重県在住 50代男性)

 男性が使ったのは、海外から薬を個人輸入する「代行サイト」。未承認薬でも、個人で使用する範囲であれば、一定量を海外から輸入することが認められているのです。ただ、未承認薬を「コロナ治療薬」として宣伝することは国内の法律で禁じられていますが・・・

 「新型コロナウイルスに効果があるかもしれない。服用することで強力な効果が期待、とあります」(記者)

 代行サイトの中には「コロナ治療薬“候補”」などと、微妙な表現を使って宣伝しているケースも。こうした方法に輸入代行業者は・・・

 「会社が海外にあるので、日本国内の医薬品販売業者ではなく、法律上問題はありません」(輸入代行業者)

 最近ではSNSを中心に、コロナの未承認薬を服用したという声が相次いでいます。しかし、効果や副作用が定かでは無い未承認薬の服用には、危険性もあると専門家は指摘します。

 「(未承認薬は)基本的には、新型コロナウイルス感染症に対して使うものではないので、それを、本当に効果が出せるのかどうか分からない状況の中で使うとすると、過剰に使ってしまう可能性がある。(薬によっては)お子さんに奇形が生じてしまうような、取り返しのつかないような副作用だってありえる」(国際医療福祉大学 松本哲哉主任教授)

 先ほどの三重県の男性は、コロナには感染していないにもかかわらず、感染への不安からイベルメクチンを服用していました。

 「孫の通っている保育所に感染者が出た。2日後には4人、さらに増えて6人の職員が感染して、そして閉園。感染の危険も高いと思ったので、自分で飲んでみようと」(未承認薬を服用した男性)
Q.副作用はなかった?
 「特にない。夜、ちょっとポカポカしただけで、次の日からはもう全く何も感じない」(未承認薬を服用した男性)

 もし副作用が出ても未承認薬によるものならば治療費などが補償される「医薬品副作用被害救済制度」の対象にならない可能性もあります。厚生労働省は「副作用が出ても対処が難しく、危険性が高い」として未承認薬の安易な使用を控えるよう呼びかけています。
(3月12日14:54)
#未承認薬 #新型コロナウイルス #治療薬