シリア・アサド大統領 “停戦合意”後 世界初単独インタビュー|全国のニュース

30万人とも言われる死者、数百万人の難民や避難民を出す世界最大の人道危機に直面しているシリアに、JNNのカメラが入りました。そして、ついにシリアのアサド大統領が取材に応じました。6年前に内戦状態に陥って以降、日本メディアの単独インタビューに応じたのは初めてのこと。30分にわたってアサド大統領が語ったこととは? 内戦状態が続くシリア。ロシアなどが支援するアサド政権と、アメリカなどが支援する反体制派の対立に加え、過激派組織「イスラム国」が登場。混迷を極めています。昨年末、政府側が激戦地アレッポを制圧、「イスラム国」など一部過激派組織を除いた形で停戦合意がなされましたが、和平への道のりはいまだ不透明です。

 停戦合意後のアサド大統領の単独インタビューは世界でも初めてのこと。まずは、これまで反体制派を支援し、アサド政権と激しく対立してきたアメリカに間もなく誕生するトランプ大統領をどう見ているのでしょうか。

 「トランプ氏に何を期待しますか。またどのような政策変更を期待しますか」(NEWS23キャスター 星 浩)

 「ご存じのように彼は政治経験がありません。過去の大統領のほとんどは政治的な職業や地位に就いていましたが、彼はそうではありません。報道を見ると、アメリカのメディアでさえ、彼のビジョンについてほとんど知らず、彼を予測できない人物とみています。判断するうえで根拠となりうるのは、選挙期間中の彼の言葉だけです。その中から良かった点をあげるとすれば、私たちにとっての優先課題でもある『テロとの戦い』についての言葉です。トランプ(次期)大統領も『イスラム国』との戦いが彼の優先課題だと言いました。もちろん『イスラム国』はテロ組織のひとつにすぎません。シリアにはヌスラ戦線や他にもたくさんのアルカイダ系グループがいます。ただトランプ氏は『イスラム国』という言葉でテロリズムのことを指したのだと思います。テロを優先課題としてあげた、それは大変重要なことです。このテロリズムについての言葉を偽りなく実行してほしい。それはシリアだけのためではありません。テロは今や中東、そして世界の問題だからです。ですからアメリカの新政権には、この地域でテロと戦うための真の連合、現実的な連合を誠実に築いてほしい。もちろん、その連合にはシリアが含まれます」(アサド大統領)

 アサド大統領は、トランプ大統領への期待感をにじませました。このほか、、アサド大統領は政府軍などの空爆で多くの市民が犠牲になっていることについて、そもそもの原因は、アメリカなどが支援する反体制派が市民を殺害したことにあると主張した上で、国民をテロリストから解放するために戦争せざるを得ず、残念だが犠牲が出てしまうと話しました。

 また、化学兵器の使用について改めて否定、シリア国内で武装勢力に拘束されていると見られるジャーナリストの安田純平さんについては、何の情報も持ち合わせておらず、日本政府からのコンタクトもないと明かしました。

 取材は17日、一つの質問に対するアサド大統領のインタビューを編集しないという条件で行われました。インタビューについては、19日夜のNEWS23でさらに詳しく、20日午後3時からCSニュースバードで全編放送します。(19日17:56)